日本一の炭の里を後世に引き継ごう |
2007年1月29日
私が生まれたころ(昭和30年代)は、燃料の大部分をまだ木炭などに依存していた時代であり、あちこちで当たり前のように炭焼き小屋から煙が立ち上っていた。この風景が、私の幼いころの原風景として心に残っている。
当時から比べると、木炭の生産量は激減したが、現在でも岩手県は、木炭の生産量(平成17年:4,644トン)が全国第1位である。その中で、久慈市(合併後の市町村別)は、木炭生産量(平成17年:998トン)が岩手県第1位であり、おそらく、全国でも第1位の生産量を誇るのが久慈市であると思う。とりわけ、山形町には確固たる生産基盤が確立されている。
もちろん、量だけではない。質についても折り紙づきである。かつて、岩手県の木炭の質にはバラツキがあり、評価が低い時代があった。この現状をどうにかしなければいけないということで、木炭関係者が立ち上がり、岩手窯という統一した窯を整備し、以来、岩手県の木炭は、質的にも高い評価を得ている。
しかし、昭和28年をピークに、木炭の生産量は減少の一途をたどっている。その理由は、燃料となるエネルギー源が、木炭などから石油などに交代したことによる需要の減少が大きな理由だ。
往時を懐かしみ、その勢いを再びと思っても、それは無理なことで、机上の空論となる。大切なことは、先人たちが汗水流し、培ってきたこの地方の文化を、しっかりと次の世代に継承していくことである。
第1次産業を取り巻く環境は、共通しているところがあり、生産者の高齢化などによる後継者問題が課題となっている。とりわけ、木炭生産者の高齢化は際立っており、深刻な課題となっている。
岩手県では、優れた技術を持つ生産者をチャコールマイスターとして認定し、木炭技術の指導、普及を行っている。岩手県内には、現在、12人のチャコールマイスターが認定されているが、そのうち、久慈市では、韮澤彦蔵さん(山形町荷軽部)、長内利光さん(山形町川井)、下舘靖さん(山形町戸呂町)の3人が認定されている。
そのうちの一人、韮澤さんは、「難しい課題だが、後継者を育成することが急務であると考えている。現在、県内のチャコールマイスターの何人かと、木炭生産の技術を文章にして残そうという取り組みを行っている。製炭技術は、身体で覚えこまなければならない部分もあり、すべてを文章として伝えきれないところもあるが、できるだけ忠実にその技術を文章にして残すのが、私たちに与えられた使命だとも考えている」と木炭にかける意気込みを語る。
需要拡大のためにはあまり役にも立たないが、旧山形村との合併協議を契機に、我が家の玄関には飾り炭を置き、部屋と冷蔵庫には防臭・消臭用に木炭を置いている。特に、木炭の防臭・消臭効果は、抜群であり、皆さんにもお勧めしたい。
このままだと、10年後、20年後の木炭生産がどうなっているのか非常に心配だ。そうならないように、今から市民、関係機関・団体が一丸となった取り組みが求められている。それが当市の文化として根付き、継承され、木炭生産量日本一ともいわれる生産基盤を今なお有する私たち久慈市の責務でもある。
バックナンバー