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特集

ほうれんそうの里を目指して

2007年3月30日

 久慈地方のほうれんそうは、昭和55年の大冷害を契機として、ヤマセの冷涼な気候にも耐えうる作物として本格的に導入された。

以来、久慈地方のほうれんそうは、順調にその生産量を伸ばし、その品質も市場で高く評価され、県内では八幡平市と並ぶほうれんそうの産地として成長している。

しかし、今後とも、ほうれんそうを振興していく上で、若干の不安要素となる問題が発生している。

一つは、価格の低迷である。これまで、ほうれんそうは順調にその出荷額を伸ばしきたが、平成17年度と平成18年度は、2年続けて1袋当たりの単価が100円台を割り込み、90円台となっている。このことが大きく影響して、2年連続で目標として掲げてきた久慈地方10億円の販売額を達成することができなかった。

単価低迷の理由としては、千葉、埼玉、群馬などの産地との競合が原因とされている。このことから、単価面では、今後においてもあまり好転は期待できず、この傾向は続くものと考えられる。

したがって、今後は、徹底したコスト管理による費用の低減に努める一方、ハウス1棟当たりの回転率を高める取り組みが求められている。

もう一つは、野菜生産の宿命ともいえる連作障害だ。ほうれんそうの本格的な生産が始まってから、25年以上が経過し、この問題が危惧されているからである。

連作障害の代表例としては、萎凋病(いちょうびょう)があり、これはカビの菌による土壌障害で、葉がしおれたり、枯れてしまう病気である。

実際、平成18年度は、8月に入ってから猛暑となり、それまで好調に推移してきた生産が、一気に伸び悩みとなった。この原因の一つが、猛暑とともに、連作障害によるものと考えられる。

連作障害になってからでは、熱湯による土壌殺菌や薬剤による土壌消毒以外には、方法がないとされており、平成18年度に実証事業として久慈地方農業農村活性化推進協議会(会長:山内隆文市長)が取り組みを行い、その効果は抜群であったと聞いている。しかし、コストが高くつくのが難点であるといえる。

今、第1次産業は、軒並み高齢化に直面しており、今後においては深刻な担い手不足が心配されている。加えて、この連作障害の懸念もあり、今後ともほうれんそうの生産振興を図るうえでは、この担い手対策に加えて、連作障害の対策が不可欠である。

また、市場ニーズの把握や付加価値を高める努力も必要である。本年度、試験的にほうれんそうの冷凍と乾燥の試作に取り組んだが、残念ながら乾燥については、水による戻りが極端に悪くなり、期待された結果が得られなかった。しかし、冷凍については、今後、業務用としての需要も期待できることから、引き続き取り組みを進める必要があるが、コスト面など課題も多く、導入する場合には、種類や露地栽培等、その生産方法を抜本的に改める必要がある。

冬場における寒締めほうれんそうの生産も検討を進める必要がある。糖度が増すとともに、栄養価も高くなり、何よりおいしいと評判が高い。それにもかかわらず、現在、その生産量は頭打ちの状態となっている。その原因として、侍浜ほうれんそう生産団地で寒締めほうれんそうの生産も行っている宇部凡夫さん(ハウス25.5a経営)は、「寒締めほうれんそうは、形が独特であるため、機械が使えず、手間隙がかかる。それにもかかわらず、単価もそれほど高いとは言えない。また、降雪地帯ではハウスが倒壊する危険もある」とその伸び悩みの原因を指摘する。

山形町戸呂町(岡堀)の大規模ほうれんそう農家(ハウス50a経営)で、本年度、夫である長坂信一さんとともに農業農村指導士の認定を受けた長坂亜紀子さんは、「雨よけほうれんそうは、地域農業の牽引役。やはり、ほうれんそうががんばらなければ、地域の農業も元気が出てこない。その意味も込めて、少しでもお役に立てればと思い、微力だけれども農業農村指導士の認定を受けた」とほうれんそうの生産振興に対するこれからの意気込みを語った。

これまで、ほうれんそうは当市の基幹作目として、久慈市の農業をリードしてきた。今後ともその中心にあることは間違いないが、現状又はそれ以上の生産振興を図るのであれば、明らかとなっている課題を一つ一つ検証し、解決していく以外に方法はない。そのためには、生産者はもとより、関係機関・団体が一体となった取り組みが必要である。それができたときにはじめて、名実ともにほうれんそうの里として、その輝きを増すに違いない。


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